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広がる「テルァッツォ」の世界


クッキーみたいなTerrazzoのピアス

 サタデーファクトリーで時々制作しているterrazzoのアクセサリーや一輪挿し。割れてしまった様々な石の欠片を活かして製作しているものです。三種類くらいのナッツやドライフルーツが使われているクッキーをお手本に、数種類の石を調合し、クッキーのようなピアスに仕上げています。


石と石の粉で色付けされたTerrazzoの一輪挿し sold out


最近そのテラゾーが少し変わってきています。


 テラゾーというのは、人造大理石のように言われたりもする種石と繋ぎの材料でつくられたものです。ところで私はテラゾー、テラゾという呼び方があまり好きではありません。テラッツォ・ボンジョールノみたいな発音がジョン万次郎氏辺りを経由してテラゾーになったのかわかりませんが、なんとなくしっくり来ていません。巻き舌か?くらいのテルァッツォならなんとなく納得感があります。本当のところをご存知の方がいらっしゃいましたらご教示ください。ともあれ研ぎ出しの床仕上げもテラゾーと呼んだりしますので、テルァッツォの見た目にはいろいろなものがあります。以降、このブログ内では「テラゾー」を「テルァッツォ」と表記を統一させて頂きます。




 最近かわいいなぁと思ったテルァッツォは種石と繋ぎの材が半分半分くらいの割合でつくられているものです。ロンドンとかおしゃれな感じのところで製作されています。もはや繋ぎの材ではなくそれも表面仕上げの部分として成り立っています。昔から色付きの目地材を使用して小さな乱形石を細かく貼り込む手法はありましたが、それとも趣が違って見えます。



旅先のテルァッツォ

 これは作り方の発想自体が変わっています。種石を繋ぎの材料に混ぜ込んだものの表面を研ぎだし、偶然の位置で種石を見せているのではなく、種石の配置をコントロールしています。混ぜる種石の種類の数やその比率でコントロールしていた研ぎだす系の作り方から一歩先へ進んでいるように思っています。

 また別のスタジオでは繋ぎ材にクリアな樹脂を使用したものも製作されています。最近よく見かける肉厚でもいける液体樹脂を使用したものですが、異素材を混ぜることには無限の可能性があるのだなぁと感じさせてくれます。テーブルの透明な天板サイドに照明を仕込んだもの、樹脂に着色しレイヤー感を盛り込んだもの、まだ見てはいませんが透明である事で多くの展開がされていくのだろうと思います。


 ちょっとお話したいことが実は2つあります。1つはこれらのニュータイプなテルァッツォは破損してしまい流通できなくなった石材を再利用しているということです。丁場(石を採っている山です)や加工工場と協力し合い生まれているものです。流通の一歩先からクリエイティブが始まっています。もう1つは異素材を混ぜる事自体の可能性です。うまく書けるか心配でしたので、先に書かせて頂きました。そういうお話のつもりでぐんぐんと書いております。



 土壁も、コンクリートも、子供と食べたホームランバーのイチゴ味だって混ぜ物です。土壁に藁が入っているのは繊維補強の一つです。コンクリートには骨材として石が入っています。ガラス繊維が入っていることもありますが、これらは各種の強度を高めるために入っています。最近知ったホームランバーのイチゴ味にはチョコチップみたいなものが入っていて、確かに強度が高められており、歯に良いアクセントとして楽しめるようになっています。混ぜ物をすると物理的な性質を変えることができるのですが、しかしホームランバーのイチゴ味は強度の観点だけで異素材を混ぜているのではないと思います。混ぜ物として見た目に美しいかというテルァッツォの観点が含まれていると思います。イチゴの種みたいな感じをチョコチップが出していると、私は思い込んでいます。



ジャンカの一輪挿し 天然石と異国の釘 sold out


 単体で受ける機能や見た目の制約を、混ぜることで拡張していく混ぜ物の世界。異素材でなければそもそも混ぜる必要もないわけです。テルァッツォの世界が拡張されています。どこかの業種の活かせないものも、混ぜれば、掛け合わせれば素敵なものになる事例だと思っています。

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