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都市の林業



週末にぶらりと植林している山に行ってきました。谷あいの道沿いには小川が流れていてとても気持ちの良いところです。午後の遅めの時間から出かけたので人も少なく、涼しいし風は抜けるし良い気持ちでした。しかし木材の育成現場の綺麗な事。まっすぐ伸びた木の幹が斜面に沿って連続し、足元にはシダや背の低い木が生えていて、きらきら葉っぱが輝いています。なんだこれはというくらいに綺麗です。このドラマチックな綺麗さは、自然がつくったものですが、人が時間をかけて作り出したものです。

あまりに綺麗だったので、最近きこりさんのインスタグラムをフォローさせてもらっているのですが、朝の霧がかった景色や、雨上がりの濡れた枝葉や幹の瑞々しい雰囲気はこれまたすごいものがあります。先週末に参考資料として「wood job」をレンタルしてきていますので、この映画で勉強したいと思っているところです。


こちらは仕事へ行く途中にある気になる外壁です。良い具合にエイジングしています。おそらく地元の杉材を使用している外壁なのですが、解体しやすそうですし、もし解体するときはお手伝いして材を回収したいなと思いながら通り過ぎています。とはいえ現役ばりばりの牛舎ですので解体するのはまだ先と思われます。

以前は塗装していたのかもしれませんが、今は素地のような板が風雨にさらされて銀灰色のような深みを帯びてきています。私はどうもこの外壁が、木材をエイジングさせる施設のように見えてしかたありません。週末に見たのは木材の育成現場で、これは木材をエイジングさせる熟成現場のような。

話は全く木材ではないのですが、リサイクルの盛んな金属では、鉱山から鉄鉱石を採掘するよりも、都市で流通した金属を回収するほうが効率的な側面があるらしく、金属を廃棄する都市を「都市鉱山」とみる見方があると聞いた覚えがあります。もし金属のような見方で「都市林業」という見方をすると、あの牛舎は木材を熟成させる都市林業の施設のようなものなのかもしれません。

一方で増える空き家とその活用や解体が問題になっています。倒壊の危険があるような空き家は危ないものですが、もしかすると熟成しきった都市林業の採集現場なのかもしれません。活用できる空き家には立地や地域の人口動態など、相応のポテンシャルが必要と聞きかじっています。活用できない空き家は将来的には解体することになるわけですが、そこで都市林業家に一番近いと思われるのは解体業者さんです。古民家などの民芸的な価値を持った空き家のパーツはある程度流通してきていますが、普通の空き家の熟成木材は未活用の余剰資源なのかもしれません。金属の多く含まれる廃棄物は金属回収業者さんがある程度の金額で買い取ってくれますが、築40年の普通の木造家屋の解体材はお金を出して引き取ってもらう状況かと思われます。解体屋さんが都市林業家として無垢の熟成木材を流通させるには、金属回収業者さんのようなマネタイズできる受け皿が必要です。サタデーファクトリーは、技術と素材を持ち寄る多拠点の製作所です。解体屋さんが都市林業家として、熟成木材をサタデーファクトリーに持ち寄るような時が来るかもしれません。

木造空き家から出るエイジングした木材を採集する都市林業としての解体業はイケている気がします。いつか解体業者さんとも協働する日がくると思っています。

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