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鹿が角を持ち寄る製作所



私は休みの日にバイクに乗ります。ほとんど改造もしていない静かなバイクです。

バイクは重たいので辛いなぁと思うこともあるのですが、転がしてしまえばこっちのもので良い気分転換になっています。法定速度かつ2500~3000回転で流すジェントルマンライドで、夏も冬も、雨さえ降っていなければ毎回同じようなコースで、毎回同じ湖にきます。看板に湖と書いてあるので敬意をはらい湖と書いていますが、農業用のため池の大きいようなもので、丁度今くらいの時期は水位が下がってみっともない感じになっています。 しかしここはヘラブナの良い釣り場になっているようで、いつもおやじさんたちがたむろしている憩いの湖です。風が穏やかな時は周囲の山々が水面に映り込んで大変綺麗です。最近2台あった自動販売機の一台が撤去され、好きな銘柄のコーヒーが買えなくなったこと以外、特に変化のない穏やかな場所です。


この静かな湖のほとりで、気に入っているほうの自動販売機が跡形もなく撤去されるなか、実は考え事をしています。世の中に一石を投じ、世間をひっくり返すような大事を画策しているわけではありませんが、少しでも自分が良かれと思う方に寄せていきたいと思っています。世の中はいろいろな考えと作戦の引っ張り合いで進んで行くような気がしているので、ベクトルの似たまだ見ぬ友人とも手を組んでいきたいと思っています。 私が今いる業界は建築業界です。その端っこに陣取っています。

記憶にはありませんが、きっと高校生くらいの時期にどの業界に進むのか、進路をどうするのかと先人と話していたのだろうと思うのですが、実際のところ業界の分け方にはもうあまり意味はなく、なんとなく残っている名残のようなものだと思っています。


ずいぶん昔、たしかスミスという人がくれた本に書いてあった内容に、世界をバラバラに分類化してツリー構造のようにしたのは、富を手にした王様だ、という様な内容がありました。本当のことを隠し、バラバラにしたものが再度つながってしまわないよう、王宮に図書館をつくって庶民から隠したというのです。王宮の図書館に集約したひとつながりの世界の情報を学ばせるときは、学問の専門分野ごとに扱わせ、それぞれ研究させた。。。というような内容です。大学の○○学部○○学科というのがその名残だと言わんばかりの。

ものすごく散らかった現場の詰め所を整理しようとするとき、これは要らない、これは要ると大まかに分けてから、徐々にこれは雑誌、これは漫画という風に細かく分けていくことはありますが、王様は世界を細かく分けて、私に漫画の整理だけさせているというような話です。本当かどうかはわかりませんが、面白い考えです。

それからその本の中の王様が恐れていたのは海賊だったようです。当時最も進んだ知識分野は航海に関わる分野だったようですが、海賊はそれを習得しており、しかも未知の情報や自分の権力の届かない範囲の人間と会うことができます。もしかしたら海賊は王様がバラバラにした知識を統合してしまうかもしれないというわけです。

思い出して書いていますので、いくぶん内容が違っているかもしれませんがご容赦ください。ブログというのは誰でも書いてよいものだが、どなたが読むかわからないので適当なことは書きなさんなよと、インターネットに明るいメンバーに釘を刺されていることもあり、情報の正確さには気を付けておりますので、過去に読んだ本のあやふやな記憶である事を添えさせて頂きます。

しかし海賊というのは自然の摂理には反さないけれど、人が作った分野は勝手に横断する人たちだったのかもしれません。有名なポスト海賊王、ルフィ海賊団も様々な分野のお尋ね者と手を携え冒険を続けています。あなたは海賊といよりむしろお侍さんに近いので仲間には入れないというような偏見がありません。鹿まで仲間にする広い視座には学ぶところがあります。


サタデーファクトリーは技術と素材を持ち寄る多拠点の製作所です。今働いている分野に関係なく協働する異業種の職人の集合体を目指しています。普段は精密機械加工で超高精度の加工を行う町工場がスツールの金物を自社の端材で作り、大工が輸入建材屋から出る古材・廃材を整えて、一脚のスツールができるような横断的な家具づくりです。今働いているジャンルや業界はそのままにし、サタデーファクトリーのことを考えるときは今の分業のツリー構造をひっくり返して考えています。

サタデーファクトリーは技術と素材を持ち寄る多拠点の製作所です。

毎年あたまの角が生え変わるので、家具の取っ手に使ってみないかと、山からひょっこり「鹿」が素材を持ち寄るのなら、彼も喜んで仲間に迎えたいとおもっております。なによりも、それを歓迎する腕利きな作業員がそろっております。


ここはバイクでいく湖の帰り道から見えるとっておきの場所です。

鹿のみならず、熊も住んでいるとの噂です。

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